免疫と病気には深い相関があります。
免疫が低下することで生じるがんや感染症、免疫が亢進(暴走)することで生じる喘息やリウマチなどの自己免疫疾患や花粉症、アトピー性皮膚炎、アレルギー性疾患などがそれにあたります。それに加え、不妊症や精神疾患、そして心血管イベントや認知症などは免疫混沌に分類され、免疫系の関与が推測されます。現代医学的に予防や治療に限界がある領域には免疫異常が関与している可能性があると考えられています。
免疫の低下、亢進、混沌について
IMMUNITY
免疫システムとは、自己と非自己を分ける仕組みのことです。
免疫システムの不調を表す状態は、免疫低下、免疫亢進、免疫混沌の3つに大きく分類することができます。
免疫の低下
免疫が低下することで発症するがんや感染症が最も良く知られています。
あらゆるウイルスや細菌などの病原体は非自己です。それらを排除する仕組みが免疫システムとして人間には備わっています。また、自己から発生する悪性腫瘍(がん)も非自己なものとして、免疫システムの攻撃対象となります。例えば、新しいがん細胞は日々生じていると言われています。その都度、免疫システムが検知し、攻撃することで悪化することを未然に防いでいるのです。その免疫システムに不具合が生じることで、腫瘍の拡大を食い止めることができず、がんが発症してしまいます。
このように免疫システムに不具合が生じ、自己と非自己の制御機能が障害され、感染症やがんを発症します。
免疫の亢進
免疫システムが過剰に反応し、暴走してしまうことです。アレルギー性疾患や喘息、腎炎、リウマチ、膠原病などがその代表です。免疫システムは、特定のタンパク質に対して個別に働いています。その働きが亢進すると、自己にダメージを与えてしまいます。例えば、花粉に対しての免疫システムが亢進すると、花粉症を発症します。単に花粉を攻撃するだけでなく、自己の目や鼻の粘膜にもダメージを与えてしまうのです。関節に存在するタンパク質への免疫システムが亢進すると、関節リウマチになります。
免疫の混沌
免疫を専門とする科学者からも体のいろいろな疾患や病気、症状に免疫が関与しているという指摘があります。免疫が低下して生じる疾患、免疫が亢進して生じる疾患の他、不妊症や精神疾患、そして心血管イベントや、認知症、子供の発達障害などにも免疫系の関与が推測されます。動脈硬化症や狭心症などの原因が歯科領域の感染症と、それに対応する免疫システムの過剰反応に起因しているとも言われています。そのように現代医学的に予防や治療に限界がある領域には免疫異常が関与している可能性があるのです。
自己免疫疾患で免疫力が亢進していてもがんになります。がんで免疫力が低下していても、アトピー性皮膚炎や喘息が楽になるとはかぎりません。それぞれのパーツにそれぞれの免疫反応が関わり、免疫反応が亢進したり、低下したりしているので、免疫の世界は混沌としているのです。
そして、免疫の混沌とは老化とも言い換えることができます。免疫機能も、運動能力、視力、聴力といった能力と同様に、年齢とともに衰えていきます。免疫機能が低下すると、若い頃は簡単に治っていた病気でもなかなか回復しない、あるいは抗生物質を投与しても効き目が悪い、ということが起こります。
また、免疫システムが過剰に反応してしまう免疫の亢進状態にもなりやすくなります。これまでは正常に反応していた免疫システムが働かなくなり、炎症を起こしてしまいます。
このように、免疫の低下、亢進どちらの症状も起こりやすくなり、様々な疾患、身体の不調を引き起こすことが、「免疫の混沌」という考え方なのです。
免疫システムの異常に対するこれまでの医療
IMMUNITY
免疫の低下
低下した免疫を「上げる薬剤」は2014年までは西洋医学には存在していませんでした。この話には多くの人が驚きます。「免疫を上げる薬はないんですか??」こんな反応です。
そこで初めてこの領域に登場するのが、オプジーボ です。
オプジーボ は2014年に製造販売認可され、2018年に京都大学特別教授の本庶佑氏がその開発に貢献したということで、ノーベル医学生理学賞に輝きました。オプジーボは免疫チェックポイント阻害剤であり、免疫のブレーキを外す薬剤です。
一般的に「免疫力が上がる」という言葉をよく目にしますが、このオプジーボが開発されるまでは、「免疫力を上げる」という言葉を医科学の専門家は「怪しい」と思うのが常識的でした。それまでは免疫力という定義が科学的にはなく、免疫低下により起こる代表的な病気である「がん」の治療薬開発に莫大な資金が注がれているにもかかわらず、根本原因解消となる免疫力を上げる薬剤自体が存在していなかったためです。オプジーボの登場後、免疫チェックポイント阻害剤は「免疫力を上げる」と考えることができるようになり、オプジーボの登場は、免疫低下に起因する疾患、特に「がん」の治療分野において大きな進歩と可能性を開いたのです。
免疫の亢進
免疫の亢進に作用する免疫抑制剤の代表はステロイドです。ステロイドは、免疫システム全体を低下させる作用があります。ですから、特定のタンパク質に対して亢進して働いていた免疫システムを低下させるため、花粉症、リウマチはじめ膠原病等の症状が緩和されます。
しかし、問題は長期投与時に生じる副作用です。免疫システム全体を低下させるという特徴のため、亢進している特定の免疫システム以外の、正常に働いている免疫システムも低下してしまいます。それにより免疫低下によって生じる疾患になりやすくなるのです。
多くの免疫亢進の疾患は、ステロイドを辞めてしまうと症状が悪化し、ステロイドの副作用以上の苦しみに繋がってしまう場合があるのです。
免疫の混沌
3つ目の免疫混沌に対しては、免疫を低下でも亢進でもない「中庸」な状態にすることが重要とされてきました。そのための薬剤や治療法は存在せず、睡眠、栄養、休養、運動などの要因をコントロールし、基本的な生活習慣を整えることが有用とされてきました。
免疫は一方向にのみ不調を示すとは限らず、あるパーツに対しては亢進作用を示したり、また別のパーツについては低下作用を示すということがあります。例えば、がんを患っている免疫低下状態でも、アレルギー疾患という免疫亢進の状態を同時に発症したりしているのです。これが免疫混沌状態です。この免疫混沌に対して、全体的に免疫の働きを抑えてしまうステロイド剤や免疫抑制剤を使用したり、免疫機能全体をアップする免疫チェックポイント阻害剤の投与では解決できないことが多いのです。それぞれの状態に合わせて、免疫機能が亢進しているところは下げる、低下しているところは上げる方法が必要です。
免疫中庸の重要性
IMMUNITY
私たちが健康に過ごすためには、免疫を低下でもなく、亢進でもなく、丁度良い状態に保つこと。つまり免疫を中庸に保つことが、何よりも大切です。
フアイアは、2018年に世界ではじめて明らかな抗がんエビデンスを獲得しました。明らかな抗がんエビデンスとは1000例規模の肝臓がん術後患者の5年後の生存率をゴールとしたランダム化比較試験で勝ち抜いたということです。フアイアが免疫低下の疾患で効果を発揮することが論文として世界に報告されそのエビデンスが証明されました。そして驚くことにフアイアは、免疫システムが亢進して生じる病気である乾癬、アトピー、喘息、IgA腎症などでも次々と効果のエビデンスが報告されてきています。
これまでの西洋医学では免疫低下に対する薬剤は免疫システム全体を上げていく、免疫亢進に対する薬剤は免疫システム全体を下げていくものだったのが、免疫システムが行き過ぎているところは抑え込み、低下しているところはアップさせる、要するに全ての免疫システム両方向に同時に働き、免疫システムを中庸に保つ、フアイアはそんなことを可能にするということが明らかになったのです。